ツールを使った送迎車の事故対策

2023年度はデイサービスの送迎車による、
小さな傷も含めての事故が15件もあった。

幸い、人身事故やケガ人もなく、ほとんどが自損事故だった。
ただボディーの凹みなどは、きちんと直せば、すぐ30~40万円になってしまう。

つまり、事故が重なれば、1ヵ月の店舗で皆、皆が頑張った利益がいっぺんに吹っ飛んでしまう。施設長やドライバーマネジャーが事故報告書を作り、ドライバーさん自身も注意を深めている。

いくら注意喚起しても事故は減らなかった。運転技術の動画教育も進めてみた。しばらく続けたが、動画視聴の時間でドライバー人件費が増大したため一旦中止した。送迎ドライバーの方はタクシー運転手さんやトラックに乗っていた人たちも多い。ドライバーのプロ。技術が未熟なのではない。ちょっとした確認ミスや不注意による事故が多かった。基本的なことができていないことが要因だった。

マニュアル作りを担当する川村さんから指摘を受けた。基本を守る「O.T.C(オペレーション・トレーニング・チェックリスト)」がないことが問題だと。経営者として非常に耳が痛い。だが、マニュアル作りに着手していなかったことが僕の責任である。年明けから「O.T.C」作りに着手した。

恥ずかしながら20年ほど前、僕は仕事の忙しさのあまり車の免許の更新を忘れ、失効してしまった。昔から車が好きで運転には自信があった。一発検定を受ければすぐに合格できるだろうと思った。しかし甘かった。

当時、1時間5,000円位で教習してくれるスクールがあったので行ってみた。20年間も我流で運転している癖が全く抜けていない。初歩的な基礎運転を学び直した。つまり、自分の長年の癖を一旦リセットし、道路交通法に則った新しい習慣を身に付けないといけないのだ。

7から8回教習に通ううちにコツが掴めてきた。検定は、路上よりも教習所内で行われる仮免の方が難しかった。基本に忠実でなければ合格できないからだ。さすがに合格した時は嬉しかった。

当時、この経験は全く無意味で無駄だったと思ったが、それが今になって役立つこととなった。自分の過去の運転技術を消去し、道路交通法に乗っ取った正しい乗り方、ハンドル操作方法、右折左折、バック走行、一旦停止などを体で覚える体験をした。

おかげで、免許取得後も我流運転は元に戻らず、安全運転の習慣が身についた。「O.T.C」の目的も同じで新しい仕事の習慣を身につける、林先生の言う「クセを取ってあげる」なのだ。

今回のドライバー「O.T.C」作りは免許失効の経験が生かされた。これを2月から現場に投入する。
まず自分がOTC通りに見本を示すことから始まる。さて、どうなるか。

一部抜粋・_OTC_「安全運転の基礎技術」_20240129

一部抜粋・_OTC_「事故防止の運転技術」_20240129

これにより送迎車の修理や事故が激減し、年間、数百万コスト削減になることを期待する。
やはり、現場の仕事は、どんなことであっても正しいやり方を、明示してトレーニングしなければならないのだ。めんどくさいけど大事だ。「O.T.C」作りは続く。

中園 徹